「聾・難聴児教育を考えるための基礎知識ー聾・難聴児の言語力」
日時:平成16年11月27日 (土)13:00〜17:30
場所:京都ノートルダム女子大学ユージニア館2階
内容:
第1部13:00〜14:45ー手話と手話データの文字化についての基礎知識
講師 金沢大学教育学部助教授 武居渡先生
*手話の言語的特徴とは何か?音声言語との違いの主な点、大切な点とは何か?日本手話と対応手話の区別についての知っておくべきことは何か?実際に子どもはこうした様々なタイプの手話をどう使い分けているのか?またその中間のような手話とはいつ誰が誰に対してどのように使われているのか?
*手話をデータの一部とする研究において、データの記述のために手話を 文字化するにはどのような方法があるのか?いままでに使用されている方法について、データを扱う者が知っておくべき誤解を産む危険性のある点、問題点、限界とは何か?
休憩 14:45〜15:00
第2部15:00〜16:45ー聾・難聴児の教育モデルと問題点、学校現場での技術的専門性についての基礎知識 広島聾学校教諭 池頭一浩先生
*聾・難聴児童・生徒への教育がもつ難しさとは何なのか?特に、教師の努力で解決する技術面ではなく、教室の外に存在し、教育実践を複雑、かつ、困難にしてしまう要因とは何なのか?聾・難聴児童・生徒への教育の歴史的な流れの中で試みられたアプローチとは何か?様々な教育モデル(医療モデル・福祉モデル・文化モデル)とは何か?現状は?聾・難聴児童・生徒への教育に関わろうとする人が知っておかねばならない現代の課題(現場の課題、行政や大学、医療の問題など)とは?
*聾・難聴児童・生徒への教育に、手話を取り入れた実践例の中から、子どもたちの言語発達の実例を知る。ろう学校の国語科での指導の内容はどのようなものか?それ以外の教科、日常生活での指導は?配慮していること、工夫していることは?その結果として育っている、現時点での子どもたちの言語能力の到達度と課題(特徴的なエラー等)は?
第3部16:45〜17:30ー全体討論
現実の様々な制約の中で、聾・難聴児童・生徒への教育を少しでもよくするために必要な言語データをもとにした研究とは何なのか?どのようなデータを収集し、どのような研究を協力して進めていくことが必要なのか?可能な研究テーマの中で優先順位をつけるとすれば、何が先決課題なのか?
講師紹介
武居渡先生:金沢大学教育学部障害児教育講座助教授。聴者。ろう児の手話言語獲得過程について研究。特に、ろうの乳児が手話を獲得するために、0歳代で何を準備しているのかについて、研究。最近は、手話の評価法や手話とリテラシーとの関係などにも興味を持っている。
論文「ろう児の第二言語習得」. 『月刊言語』, 32(8), 49-57 (2003).「手話とリテラシー−ろう児の指導法をめぐって−」. 『教育学研究』, 70(4), 66-76 (2003)他多数.
池頭 一浩先生:広島県立広島ろう学校教諭 。1992年より現職(幼稚部→小学部→聴能・教育相談→小学部)。 ろう・難聴教育研究会(旧トータル・コミュニケーション研究会)運営委員。第5回・第6回ろう教育実践交流会事務局代表。中四国きこえとことばの勉強会代表。新生児聴覚スクリーニング検査を考えるシンポジウム準備・実行委員。NHK教育テレビ「聴覚障害者のみなさんへ」(タイトル「手話で学ぶ 広島ろう学校」),同「にんげんゆうゆう」(タイトル「自信を育む 広島ろう学校」)に出演。 著書『聾教育の脱構築』(金澤貴之編著,明石書店)をはじめ,関係する研究会や雑誌にろう教育に関する論文・レポートを多数発表し,講演活動も行っている。