第9回研究会:続・ダブルリミテッド/一時的セミリンガル現象を考える

—ジム・カミンズ教授に訊く—
2006年6月13日(火)午後5時〜7時
名古屋外国語大学511教室
母語が未発達な子どもが急激に外国語に接触をすると,両言語とも低迷し年齢相応の学習が困難な状況(ダブルリミテッド/セミリンガル現象)に陥ることがあります。外国人児童生徒やろう児の言語・学力問題に焦点を当て,つぎのような質問を中心に,世界的権威であるジム・カミンズ教授を迎えて,理論面,政策面,実践面にわたって知見を深めました。
質問1 就学前状況によって日本語も母語も不十分なまま入学する外国人児童生徒の言語発達遅滞(ダブルリミテッド/一時的セミリンガル現象)の要因とその解決方法
質問2 L2習得に役立つL1の認知学習言語面を、母語の文法を知ることだと考える人がいるが、どう説明したらいいか?(BICS/CALP説)
質問3L1学習機会が保障されず、L2のみの教育を強要される日本の外国人児童生徒の場合、L2からL1への転移は望めないのか。L1支援をどのように、どのぐらいすればL2の強化につながるのか?(2言語相互依存説・言語共有基底説・氷山説)
質問4 言語共有基底説は音声言語間のみで,モードの違う手話と読み書きの間では援用できないという意見があるが,両者に違いはあるのか? 援用可能であるという実証的研究にはどのようなものがあるか?
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使用言語:英語;通訳つき
JIM CUMMINS BICS/CALP
(言語能力の分析),2言語共有説・氷山説(母語と外国語の発達上の関係)など画期的な理論で世界的に知られる,バイリンガリズム、マイノリティー言語児童生徒教育の権威。アイルランド生まれ。アルバータ大学博士号(教育心理学)。現在トロント大学大学院教授。主著書:Bilingualism and Special Education (1984), Empowering Minority Students (1989), Negotiating Identities: Education for Empowerment in a Diverse Society(1996), Language, Power, and Pedagogy: Bilingual Children in the Crossfire (2000) 申込み不要 会場に直接おいでください
名古屋外国語大学外国語学部日本語学科  母語・継承語・バイリンガル教育(MHB)研究会 共催
この研究会は科学研究費補助金(基盤研究B「外国語習得と母語との関係—セミリンガル現象の要因と教育的処置に関する基礎的研究」[課題番号15320075 代表者:中島和子])によって開催されました。